研究会のお知らせ(2023/6/24)

ポスト・ケインズ派経済学研究会のお知らせです。

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【ポスト・ケインズ派経済学研究会(経済動学ワークショップとの共催)】
○日時: 2023年6月24日(土)13:30-18:00
○場所: 京都大学大学院経済学研究科・法経済学部東館3階・311演習
○アクセスマップ: http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/access/ 
○PK研URL: http://js4pke.jp/blog/ 

□13:30-13:40 開会挨拶 浅田統一郎(中央大学)

□13:40-15:00 第1報告
報告者: 山本英司(金沢星稜大学)
報告論題: 「カレツキはいかなる意味でケインズに対する先行性を主張したのか」
報告要旨: カレツキは1936年、ケインズの『一般理論』に対する書評において、「投資が全体の生産量を決定するとの命題はケインズと同様の方法で私の『景気循環理論』において証明されていた」「資本の需要と供給に関する類似した考えは私の『景気循環理論』において提出されていた」「私は、生産が貨幣賃金の変動から独立していることもまた私の『景気循環理論』において示していた」との3つの脚注を付けている。このことは、ポーランド語においてではあるが、カレツキが『一般理論』出版直後の段階で自らの先行性を主張していた証拠としてしばしば言及される。しかしながら、上記の主張、特に2番目の脚注の意味するところは必ずしも十分に理解されてこなかったように思われる。本報告では、『景気循環理論』を詳細に検討することにより、2番目の脚注がまさに流動性選好理論を指すことを明らかにするとともに、その他のカレツキのケインズに対する先行性や優位性を整理して明らかにするものである。
司会: 中尾将人(千葉商科大学)

□15:00-16:20 第2報告
報告者: 鍋島直樹(名古屋大学)
報告論題: 「ケインズの社会主義論―自由と計画の狭間で―」
報告要旨: 本報告ではケインズの社会主義論についての検討を行ない、以って彼の政治思想の特質とその歴史的意義を究明することとしたい。ケインズは、マルクス主義に対して何の共感も覚えなかったし、労働者階級の運動やそれを通じた社会の変革にもほとんど関心を示さなかった。それにもかかわらず、金儲けを人間行動の重要な動機ではなくさせようとするソヴィエト・ロシアの実験には大きな関心を寄せていた。またケインズは、私的資本主義と国家社会主義の独特の合成を試みることによって、危機に瀕しているヨーロッパ文明を救おうと考えた。彼は、このような自らの政治的立場を「ニュー・リベラリズム」あるいは「リベラル・ソーシャリズム」と呼んでいる。そして彼は、個人の自由と創意を守りつつ、完全雇用を実現するための方策として、長期計画にもとづき総投資の水準を国家が管理する「投資の社会化」を提唱した。こうしてケインズは、経済計画の拡張こそが自由な社会を守るための唯一の方法であると主張した。
司会: 板木雅彦(立命館大学)

□16:30-17:50 第3報告
報告者: 松尾匡(立命館大学)
報告論題: 「流動性のわな再々考——「貨幣を出してもそのまま持たれる」の系譜」
報告要旨: 「流動性のわな」は一般には利子率が最低限に張り付く事態と理解されているが、古くから、根岸隆、芳賀半次郎によって、実質貨幣需要の実質貨幣残高効果が微係数1となる事態とする解釈がなされていた。それと同じことが1990年代に、河野良太、二階堂副包によって独立に主張された。同じ1990年代に出た、クルーグマン、小野善康、大瀧雅之、斎藤誠の不況モデルの本質的仕掛けも、全く同じ貨幣市場のスラックにあったと言うことができる。1990年代にはこの流動性のわな解釈による拙著のマクロ教科書も出た。近年「MMT的」と称されて出された斎藤と村瀬英彰のモデルも、MMTと言うよりは、貨幣市場のスラックに本質がある。世間では1990年代にこうした業績が集中した意義が意識されずに忘れられたようだが、「リフレ派」「MMT」と言った誤解を生みやすい分類に替えて、「流動性のわなタイプ」という理論カテゴリーを提唱したい。
司会: 金子創(東京都立大学)

□17:50-18:00 閉会挨拶 佐々木啓明(京都大学)

□18:30-  懇親会

会場準備の都合上,6月19日(月)までに,
セミナーおよび懇親会のご出欠を佐々木宛(sasaki.hiroaki.7x[@]kyoto-u.ac.jp)に
お知らせいただけましたら幸いです.
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PK 研幹事: 笠松学、渡辺和則、浅田統一郎、佐々木啓明、大野隆、黒瀬一弘、内藤敦之